スカイレポート
SKY REPORT
どうして赤外線カメラで外壁劣化がわかるの?
2025.04.17

赤外線カメラが外壁調査に有効なことは知っているけど…
赤外線カメラは、建物の外壁調査において非常に有効なツールとして活用されています。その理由は、赤外線技術によって外壁の異常を可視化できるためです。どうしてその異常を可視化できるのか、メカニズムまで把握されているでしょうか。赤外線の本質を理解することで様々な状況下での理解・判断に繋がります。本記事では、赤外線カメラによる外壁調査のメカニズムについて詳しく解説します。
赤外線技術の基礎

赤外線カメラは、物体が発する赤外線(熱放射)を捉えて画像化する技術を利用しています。
すべての物体・物質は自ら赤外線を発しています。この発せられる赤外線量は温度、放射率、計測角度などによって強さが異なります。建物の外壁は日中に太陽光を吸収し、夜間に冷却されるため、表面温度に差が生じます。この温度の違いを赤外線カメラで可視化することで、通常の目視では検知できない異常を発見できます。
1.熱伝導の影響
熱は温度が高い方から低い方へと移動します。また、建材の種類や状態によって熱の伝わり方(熱伝導率)が異なります。
例えば、外壁タイルに浮きが発生している箇所では通常の部分と比較して熱の伝わり方が変わり、不均一な温度分布が生じます。これは空気層が生まれることによって引き起こされます。通常、日射で暖められた外壁の熱は温度の低い建物内部へと移動していきます。空気は断熱材のような働きをするので、熱伝導は小さくなり熱移動を妨げます。よって外壁には熱が溜まりやすくなり、周囲よりも高温となります。
赤外線カメラはこの温度の違いを識別し、異常個所を特定するのに役立ちます。
2.水分の影響
建物の外壁に浸入した水分は、周囲の建材と異なる熱特性を持つため、赤外線カメラで検出が可能です。水分の影響を考えるときは水という物質の特性を理解しておく必要があります。

水分を含んだ部分は、日射・外気温の影響により昼間は周囲よりも遅く温まり、夜間には周囲よりも遅く冷えます。これは水が温まりにくく冷めにくいことに起因しています。
また、水は蒸発する際に周囲の熱を奪います。つまり温度が低下することになります。
これらの温度変化を分析することで、雨漏りや水分による劣化の兆候を把握できます。
※水分の影響に関して、別途記事にて詳細な解説を予定しております。
3.昼夜の温度差を利用した診断

赤外線カメラを用いた外壁調査では、昼夜の温度差を利用することも重要です。
例えば、晴れた日中に外壁調査をするとします。外壁タイルに黒い汚れが付着してる場合、赤外線カメラでは周囲よりも温度が高く表示されます。しかし、これでは外壁タイルが浮いているかどうかまでは判断できません。
そこで日没後に再度撮影することによってこの問題を解決できます。外気温が下がることで建物内の熱が外へ移動します。日中とは逆向きの熱移動となり、外壁タイルが浮いている場合は相対的に温度は低下し、不均一な温度分布が生じます。
撮影する時間帯によっても赤外線画像の見え方は異なります。特に、日没後や早朝などの時間帯は、外壁の温度変化率が大きいため、異常部分の温度差が明確になる場合もあります。適切な時間帯・適切な方角(日射の当たり具合)を意識して調査を実施することで、より正確な診断が可能になります。
おわりに
赤外線ドローンを使った点検は、目視では発見できない問題箇所を的確に特定し、早期対応することで修繕コスト削減につなげることができます。弊社では赤外線に関する知識・資格を持ったスタッフが撮影・解析を行っております。外壁タイルや雨漏りに不安・お悩みがある方、または建物の定期点検を検討している方は、ぜひ赤外線ドローンを活用した点検をご利用ください。
建物の健康を守り、長持ちさせるために最適な解決策をご提案し、全力でサポートいたします。
赤外線点検に関するご相談やお仕事のご依頼は弊社まで一度お問い合わせください。
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