ドローン飛行時における安全対策と法制限                      ~立入管理措置や補助者の役割と重要性~

2024.11.24

近年、建物やインフラの点検にドローンを使用する場面が増えていますが、安全に飛行を行うためには「立入管理措置」(立入管理区画を明示する措置又は補助者の配置)の存在が重要な役割を果たします。本記事では、ドローン飛行における立入管理措置または補助者が必要な場面と、補助者の具体的な役割について解説致します。

ドローンに関連する法律の1つとして、航空法が挙げられます。航空法では、第三者への危害を防止することを目的として、ドローンの飛行における安全確保のために、立入管理措置を講じることについて規定や指針が設けられています。具体的には、以下のようなケースでは立入管理措置が必要となります。

〇特定飛行(規制対象となる飛行)に該当する場合

特定飛行とは、航空法で原則飛行が禁止されているものであり、特定飛行に該当する状況下で飛行を行う場合は、国土交通大臣許可承認が必要となり、一定の安全対策を講じることを前提として承認が下ります。その安全対策が「立入管理措置」です。「立入管理措置」とは、関係者以外の立ち入りを制限するために、看板やコーン等を設置することで立ち入らないように立入管理区画を明示する措置のことであり、補助者を配置することにより第三者が立ち入らないよう監視することができる場合は立入管理区画を明示する措置に代えることができることになっております。

では、特定飛行とはどのようなものがあるのでしょうか?特定飛行に該当する飛行は、飛行空域と飛行方法に分かれており、代表的なものを以下でお伝え致します。特定飛行に関する詳細は別記事で説明させて頂きます。

①人口密集地(DID)での飛行

 定期的に行われる国勢調査に基づき、人家が密集していると判断された地区(人口密度4,000人/㎢以上でその全体が5,000人以上)のことであり、DID地区での飛行は特定飛行に該当します。

②目視外飛行

 機体から目を離しながら飛行させる場合や、FPVゴーグルを着用して飛行させる場合等が該当し、その場合の飛行は特定飛行に該当します。例えば、画角が気になるからと言って一瞬だけプロポを見た場合も、目視外飛行に該当します。

③夜間飛行

 国立天文台が公表している「日の出」から「日の入り」までの時刻以外の時間帯に飛行することを言い、その場合の飛行は特定飛行に該当します。

④人または物件と30メートル未満での飛行

 「人」とは、関係者以外のことであり、「物件」とは、関係者が所有または管理する物件以外のものであり、これらとの距離が30メートル未満で飛行することは特定飛行に該当します。この「物件」には、建物はもちろんのこと、電線や電柱等も含みます。一方、「物件」に含まれないものとしては、土地や雑草、樹木等となります。

※上記の他にも、特定飛行に該当し飛行許可・承認が必要となるケースは複数あります。特定飛行については、別記事で詳しく説明致します。

これらの特定飛行に該当する場合は、立入管理区画を明示し、第三者の立入りを制限する必要があります。

立入管理区画は、ただドローンの真下を制限すればいいのではなく、ドローンの墜落が想定される範囲までを制限しなければならないこととなっています。

では、近くに障害物があって正当な距離に立入管理区画を明示できない場合はどうなるの?と思う方もいるかもしれません。

そこで、措置として考えられるのが、立入管理措置のもう一つ、「補助者」の配置です。機体や周囲の安全確認を行う操縦者以外の人を補助者として配置すれば、立入管理措置を講じていることになります。

補助者は、ドローン操縦者の「目」として機能し、安全な飛行を支える重要な役割を担います。以下に、補助者が行う主な役割をまとめました。

〇周囲の状況確認とリスクの報告


補助者は、周囲の状況を常に確認します。人や車両、鳥等の動物が接近していないか、障害物がないかといった情報をリアルタイムで監視し、操縦者が迅速に対応できるようサポートします。

緊急事態発生時の対応


もしもドローンがトラブルを起こした場合、補助者はすぐに状況を把握し、周囲の安全確保を行います。例えば、故障やバッテリー切れが発生した場合に備え、緊急着陸エリアを確保するなどの対応が求められます。

コミュニケーションと監視サポート

補助者は操縦者とコミュニケーションを取りながら、安全飛行に必要な情報を適切に伝える役割を持ちます。補助者が周囲の音や異変に気づくことで、操縦者に危険が迫っていることを即座に知らせることができます。

また、夜間飛行や悪天候での飛行を行う場合も補助者を配置することで、視認性の低下に対応できます。

補助者を配置することで、ドローンの飛行がより安全になり、周囲へのリスクも軽減できます。秋田県内での建物点検やインフラ点検業務においても、補助者と連携することで作業の効率と安全性を高めることが可能です。弊社でも、点検業務の際には補助者を配置し、安全かつスムーズな作業を心がけております。

補助者を適切に配置し、役割をしっかりと果たすことで、ドローン飛行における安全性が向上します。ドローン飛行をお考えの方は、ぜひこれらのポイントを押さえ、安全なフライトを心がけてください。

また、本記事では、航空法に関する内容も一部記載させて頂きました。航空法や特定飛行に関する詳しい内容は別記事でも説明させて頂きますのでお楽しみに!

飛行に関するご相談やお仕事のご依頼は弊社まで一度お問い合わせください。

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